インタビュー

輝く女性たちの魅力に迫る

今を輝く女性たち~ 第2回 ヨガ講師 石田 里美さん

2021年6月2日

YOGINI

Re : meeは、女性の感性とアイデアが活かされ、活躍できる社会を目指します。ここでは、Re:mee が出会った“輝く大人の女性”を紹介していきます。自分らしく生きたいと願う女性たちに必要なコトは何か?インタビューを通して、ヒントを得たいと思います。

第2回目は、大阪府下で3つのスタジオを持つ、スタジオヨガ・ファイン!オーナー講師の石田里美さんにお話を伺います。

30年以上のヨガ暦を持ち、延べ3万人以上の方々にヨガの素晴らしさを伝えてこられました。


ヨガを始めたきっかけを教えてください

 ヨガを始めたのは26歳の時です。主人のお義母さんが元気だったのにある日突然、くも膜下出血で倒れ、2〜3日後に亡くなりました。主人は長男で、義弟は当時まだ結婚していなくてお義父さんと2人、男所帯が残ってしまいました。
 その頃、私はコピーライターとして働いていました。当時は同じ仕事をしているのに男性と女性が同じお給料でなかったり、まだまだ男尊女卑が色濃く残っている時代で、私は女性の尊厳を守りたいという考えを持っていて、そのような不平等に対して社長に抗議したりするタイプの人間だったんです。でも私生活では、女性である私がひとりで家事を担わないといけない。周りの親族もそれが当たり前だという考えでした。なんだか理不尽な、もやもやした感覚の中でがんじがらめになっていて、それが呪縛のようでした。
 そんな思いで毎日を過ごしていたので、気持ちは落ち込むし、身体もしんどいし、だんだんと心身が蝕まれていくようでした。たまにマッサージに行っても、楽になるのはその時だけで、体中が硬直したまま、ずっと緊張しているような状態で生きていた気がします。
 このままだったら私は壊れてしまうと思い、とりあえず身体を動かせるものを探し始めました。そしてたまたま自宅から一番近かかった、スーパーでやっているヨガに通い始めることにしたのです。
 行き始めたものの最初から良さがわかる訳でもなく、半年くらいは月に1回か2回ほど通う程度でさぼりさぼりやっていました。ある日、そのヨガの本部が発行している新聞を持って帰り、目にとまったのが、「生命(いのち)の叫び」という歌の歌詞でした。 
 「私はすべての人を愛したい。すべてのものを愛したい。私は生きる喜びを味わいたい」と書かれていて、それを読んだ時にハートが射抜かれたような気がしました。「私はなんでこの家にお嫁に来たんやろう」「私はなんで生きているんやろう」「なんのために私の人生はあるんやろう」そんなことを考え、口から出るのは不満ばかりでした。でもほんとは「みんなのことが大好きと心から思える私になりたい」「私は心から喜んで生きるということを忘れてる」と思ったんです。そして「本来の私が欲しいのはこれだった」と思ったら、涙があふれてきました。そしてその横に書かれた「太陽礼拝」という文字が飛び込んできました。窓の外を見るとちょうど夕陽が落ちてくるところで、その光がサーッと私の元にやってきて、ピンポイントに照らして包んでくれているようで、涙が止まらなくなってしまいました。
 
 その時は(ヨガクラスで)太陽礼拝などやったことなかったし、どんなものか知らないはずなのに、自然と太陽に向かって「ありがとうございます、ありがとうございます」って、30分くらいずっと両手を合わせていました。それはとてつもなく重大な気づきで、そして静かな喜びと安堵に震えていたのです。感謝でいっぱいになりました。これがヨガを真剣に始めようと思ったできごとです。この時に私は一生をかけてヨガをやっていくとわかりました。
 自分と太陽の光とが重なる感覚というのが「本来の私」の感覚で、自他一如、梵我一如と言います。これまでもなにかを決める時にその感覚になれた時、その選択は間違っていなかった。「本来の私の感覚」が初めてわかった瞬間でした。
 その後もしばらくは週に1回、ヨガに通って、年に数回ある岐阜で開催される合宿に行くということを続けていて、広告の仕事でスポンサーから依頼されたタウン誌を作りながら、子育てもしながら、ちゃんとヨガもやっていくようになりました。そして、指導員養成コースにも入って、資格をいただきました。仕事、家事、育児、ヨガと忙しく、ちょうど主人が会社を始めた頃でもあり、お金はなかったけれど、体と心は元気になっていました。


こちら(取材した伽羅橋スタジオ)がご自身の初めてのスタジオとのことでしたが、始められたきっかけは?

 ヨガインストラクターとして、最初は教室から派遣されてスポーツクラブで教えたり、師匠のスタジオでクラスを担当させていただいたりしていたんですが、人を集めるから教えに来てくれないかと直接声がかかるようになっていました。師匠にも相談し、市役所やPTAなどの集まりで教えたりしていくうちに、自分でやっていこうかなと思い始めました。
 そんな時ちょうど実家を建て替えて、義父と同居することになり、2階にスタジオを作りました。最初は母の友達10人と私の友達10人のクラスから始まりました。ヨガは健康になるし、みんなのためになるからと、保育園児だった子供たちも含め、家族はとても応援してくれました。週に2回、この2階で細々とやってたんですが、その後だんだん生徒数が増え、ついには100人に達したので、銀行からお金を借りて、もう一つ駅前に、翌年には隣の市にもう一つスタジオを作ることにしました。

現在、そのスタジオを始めて28年、のべ3万人の方にヨガを教えてこられたとのことですが、なにか心がけていることなどはありますか。

 日本人って頑張りすぎるということと、自分がどう思うかよりも自分がどう思われるかの方に主軸を置く場合が多いと思います。生徒さんが疲れた状態でスタジオに来て、それが軽度の疲れなら動いた方がいいんだけど、ものすごく疲れているのに、周りの人と同じペースでやっていくことで、逆にどこかを痛めてしまったりすることもあるんです。「自分と相談してください」「軸を外に置かないでください」ということを伝えます。インストラクターたちが「無理をしないでください」という言葉を使うことがありますが、場合によっては無理した方がいい時もあります。でもその言葉の本質は「軸を自分に持ってください」という意味です。周りに合わせなくていいんです。

 そして呼吸ひとつで人生が変わるということです。
 寄せる波、引いていく波をイメージしながら、呼吸をしてくださいとよくお伝えするのですが、これは地球のリズムに呼吸を合わせることになり、リラックスし、どっしりと落ち着いてくるからです。海の表面に生じる波は大きい波、小さい波、荒い波、穏やかな波とどれほど変化しても、みんな海の一部で、繋がっています。そして深海ではすべてが繋がった、静かで深い世界がいつの時も存在しています。私たちの人生の縮図のようですね。ある時はもしかしたら、大波でサーフィンを楽しみたいのかも知れません。嵐の時も静かで広大な深海宇宙と繋がっていることを知るとありのままの流れを受け入れることができるようになります。治癒力や回復力を高めるだけでなく、その恩恵は計り知れません。

 お義母さんが亡くなってすぐに、私の人生どうなるんやろうと私自身がパニックになっていた頃、不眠症になってしまったのですが、その時に横で寝ている主人の呼吸に合わせて自分も呼吸をしたんです。寝ている人ってすごく穏やかなリラックスした呼吸じゃないですか。その呼吸を真似していたら、眠れたんです。それで呼吸って大事なんだなということに一番最初に気がついたのが、その時でした。だからクラスでもよく呼吸の話をしています。

 あと、日本人には多いと思うのですが、「苦しいと思ったら負け」とか「不安に思うとあかん」とか、自分の感情を抑えて生きているところがあると思うんです。それを解放するには、全ての感情を認めるのが大事で、ネガティブな感情が湧けば、それに身を任せる。私自身、ネガティブな感情をきちんと腑に落とすようにしてからは、すごく楽になれました。例えば、悲しい時には第4チャクラの肺が弱くなって、不安になれば腎系統が弱くなる。そうなれば不安感はますます大きくなってきます。それを和らげるのが私のオリジナル、Hug me Yoga(ハグミーヨガ)です。感情を全部受け入れて、それをヨガでほどき、心地よくなることを目指してるんです。


苦労されたことはありますか

 割りといろいろスムーズにやってこれたかと思いますが、子供たちが小学生の頃、教室は軌道に乗っていて、毎日が忙しいなか、実父と義父が同時期に病気になってしまいました。夫が始めた会社も忙しくなり、妻としての用事も増え、家のこと、教室のこと、父たちの看病、とても疲れてしまって…。ヨガが私のミッションと堅苦しく構えていたので、休むこともできなかったのです。

どうやって気持ちを取り戻したのですか

 突然ジャズ・ピアノの学校に行ったんです。私はもともと好奇心がとても旺盛です。高校生までクラシックピアノをやっていて、子供の頃はピアニストになりたかった。40才になってやりたいことをやらなければ後悔すると思い、ジャズ・ピアノをやり始めました。忙しくなればなるほど、私にとってのヨガは仕事という義務になり、楽しみという余白をピアノに求めたのかもしれません。ライブハウスや市民会館の小ホールでヨガの生徒さんたちに聴いてもらったりしました。
 私は、自分の心が震えたり、キュンとなること、楽しいことをみんなとシェアしたくてたまらないんです。音とヨガを合わせたり、アートとヨガ、ダンスとヨガなどのコラボを多数企画しました。こうして義務から「ライフワークとしてヨガを楽しむ」にシフトしてきました。

石田先生の教室は、楽しいワクワクをシェアするヨガなんですね

 それが最近はちょっと違うことも考えていて、60歳まではいっぱい楽しいことをやってシェアしてきたけど、これからは「死をみつめるヨガ」をやっていきたいと思っています。※シャバアーサナってそういうことでしょ。
(※死体のポーズ サンスクリット語で、シャバ=死体の意味。ポーズを行ったあとにこのポーズを行い、体を緩めます)
 私がヨガをやろうと思ったきっかけになった、太陽の光が私の方に広がってきたときの一体感。これって深いシャバアーサナの時と同じ感じだと思うんです。自分と外が一つになる。その質の良いシャバアーサナっていうのが、結局死ぬ練習なのかなって。

 私のところには、ご自身の人生の転機の時にヨガを始めてくださる方が多くて、難病の再発を繰り返して、完治することはないと言われていた人が完治したりだとか、交通事故で骨盤内が4カ所骨折した方だとか。その事故にあった方も言っていたのだけれど、「ヨガってよく生きて、よく死ぬためのもの」だと。人生の先輩であるその方たちの言葉が、60歳を過ぎて人生を振り返ってみた時にその通りだなと思って。目一杯生きて、すこーんと死ぬことをみんな目指していて、シャバアーサナってその練習なんだろうなと思っています。

 インドに行ってヨガ・マスター(熟達者)たちと接していると、やっぱり彼らは死を恐れていない。彼らは自分の生きる道というか設定、どういうキャラクターでこの世に生まれてきて、何を設定して、何をクリアすれば自分はOKなんだということを心底知ってるんだと思います。だからその道を進んでいる彼らはなんの後悔もないし、多分、道の途中で、死が怖くなくなるんじゃないかと思います。

 ヨガ・ニードラというシャバアーサナだけの、横になって潜在意識とアクセスするヨガなんですが、そういう良く生きて、良く死ぬためのヨガというのを今後、みんなと一緒にやっていきたいんです。私の年齢でないと探求していけないようなことかな、と思っていて。


他にも何か興味を持たれていることはありますか

 テクノロジーの世界というのが今後とっても大切になってくると思ってます。
 私はヨガ的な大自然とか宇宙的な共鳴とかも大好きですが、そういう世界がある一方、実際インドのヨガアシュラムに行けば、みんなスマホを持ってますよね。でもそれって決して相反していない。ヨガをやって自然に沿った生活をして、なるべくオーガニックのものを食べたりしているけれども、これからはテクノロジー、AI(人工知能)に管理してもらう健康と、ヨガでベーシックに心身の透明性をキープしていくこと、両方が大事だと思っています。だから、それらを取り入れていきたいです。
 いまも時計で生体データを自分で管理するのを活用しています。今後世界が進んで行く方向はちゃんと見ておきたいなと思っています。まだまだわからないことや知らないことが多いけれど、だから学んでいきたいと思うし、テクノロジーというのは決して軽視したり、ヨガと相反することではないという柔軟な頭でいろんなものを見聞きしていきたいなと思っています。


最後に先生の若さの秘訣と先生が考える美しさについて教えてください

 好奇心ですね。多分、いろんなことに興味がなくなったら、老けるでしょうね。長い人生の中、ほんとにまっすぐ目的を見て突き進んでる人って素晴らしいと思うんだけど、人生を木で表すなら、たいていは枝葉の所に行って、違う違うって、また戻ってきて、それを何度も繰り返す。そうしていくうち、幹って太くなっていくと思うんですよ。枝葉のような分岐点が決して後悔なのではなくて、多分きっと、また道に戻って太くなるための何かだったんです。迷いとか悩みとか出てきてこそ、幹は太くなってくる。そこはチャンスと考える。ムダはないと思います。いろいろなことに好奇心を持って、チャレンジもして、楽しむ、ということです。そういう生き方、生き様が内面から溢れ出れば、それが美しさなんだと思います。

 先日地方の初心者向けリトリートで、終わってから息子くらいの歳の若い男性が寄ってきてくれて「先生みたいに本当に深い振動で伝えてくれる人は初めてでした。美しかったです。」と声を掛けてくれました。この言葉に感動しました。うれしいですよね。積み重ねてきたすべてが美しいという評価、最高の褒め言葉です。

 宗教とヨガって似てるって言われているけど、やっぱり宗教は神様の恩恵をいただくもの。ヨガは自分で自分の内側を見ながら、自分で解決していくもので、自分で実践して動いていくために体力をつける。そこがヨガの一番好きなところです。スピリチュアルも同じようなことを言っている場合があるけれど、ただイメージングするだけでは、ものすごく違和感を感じる。私もイメージするのは好きだし、クリエイトしたりするのも好きだけれど、この世界はそれだけではないと思っています。だから皆さんには、体力を付けて、体を動かして、この世界を楽しんでいただきたいと思っています。

 シャバアーサナもいまから探求していきます。死を怖がらずに生きていくことはとても素敵なことです。私の母は「あ〜楽しかった〜!ありがとう〜!」と言って亡くなったんです。
 結局、好奇心を持って、目一杯楽しんで、体験して生きてこそ、そのシャバアーサナも活きるんです。人生最後のシャバアーサナもね。だから母が目標なんです。


リ・ミー エッセンスジェルについて率直な感想を聞かせてください

 すごくしっとりしています。シワがなくなってくるんじゃないかと思っています。

 クラスをしていると、シャバアーサナした時にたまに首を動かす人がいるんです。それを見るとまだゆるんでないな〜と思って。特に今はコロナ禍で、みんな頭で不調を作り出しているところがあるから、やっぱり首から上をほどくのが大事だなと思っていたんです。だからシャバアーサナに入る前にはどのクラスも5〜10分、リ・ミー エッセンスジェルを使って、マッサージと顔ヨガを入れているんです。そうするとシャバアーサナの質がさらに上がるように思います。レッスンの最後にも皆さんにワンプッシュずつ使ってもらっています。あと、サラッとするのもいいですね。
 「お風呂あがりに乳液や美容液を付けたりするのと、ヨガのあとに美容液を付けるというのは同じ効果ですよ。発汗と体温の上昇と細胞が開くのは、お風呂もヨガも同じ。ヨガのあとに使うというのは効果的なんですよ」ということをみんなに伝えています。
 なぜいままでリ・ミーのような美容液が無かったのかが不思議なくらいです。使い方の動画を撮ってSNSであげたいなとも思っているんですよ。生徒の皆さんもすごくいい!と気に入ってます。

Profile :

石田 里美 Satomi Ishida

スタジオヨガ・ファイン!オーナー講師
誰もが生きているだけで価値があると感じる世界を目指して、スタジオヨガ・ファイン!を主宰。レッスンした人数は述べ3万人。心理療法をプラスした、感情からアプローチするオリジナルメソッドのHug me yogaを伝えている。

スタジオ ヨガ・ファイン! https://yoga-fine.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/satomi.ishida.395
Instagram:https://www.instagram.com/satomi_movment/

インタビュー後記

一番最初にご自身のスタジオとしてスタートさせ、そして最近リノベーションされたというスタジオヨガ・ファイン!伽羅橋スタジオでインタビューをさせていただきました。
インタビューの日はあいにくのお天気だったのですが、窓からは雨の雫がしたたり、青々とした若葉の見える、気持ちの良い場所でした。この建物の中に全部で3つのスタジオを備え、リニューアルオープンされるそうです。
ヨガを真剣に始めるきっかけとなったできごとは石田さんがまだ20代で、苦しさのまっただ中にいるのに、感謝の気持ちが湧いてきたと伺い、とても驚きました。
そして常に好奇心を持って行動し、良い!楽しい!と思えることを他の人たちにも提供する。決して、ひとりよがりではなく、いつも他者のことを思い、行動され、そしてその一人一人に対して、大事に向き合ってこられたからこそ、延べ3万人というたくさんの方々が集まって来られたのかなと思います。
お話を伺っていても、笑顔が素敵でとても楽しく、プラーナ(気)の満ちた場所とプラーナに満ちた魅力的な方でした。ヨガクラスはもちろんですが、イベントも企画されていくようです。とても楽しみです!

昔、生徒さんに渡していた手描きのポーズカード。イラストも石田さんが描かれたものだそうです。(生徒さん提供)